ダイヤモンドと黒鉛の化学的な違いとは?
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みなさん”ダイヤモンド”って聞くと何を想像しますか?
アクセサリー?研磨剤?南アフリカの欲望の大穴で発掘された世界最大のダイヤモンドを想像される方もいるかもしれませんね!
ちなみにダイヤモンドは日本語では金剛石とよばれています。
今回のエントリーではダイヤモンドと黒鉛の違いを化学的にみていきましょう
目次
ダイヤモンドと黒鉛の違いについて
ダイヤモンドはそもそも炭素がマントル等の高温・高圧状態下で存在している場合に生成される炭素の同素体なんですね。
同素体とは同じ元素の単体で構成されながら性質が違うもののことをさします。
でも、ダイヤモンドと黒鉛には大きく2つの違いがあります。
まず、ダイヤモンドはもっとも固い硬度を持っているにもかかわらず黒鉛は鉛筆の芯から分かるようにもろい。
黒鉛は電気を通すがダイヤモンドは電気を通さない。
と、こんな感じの違いです。
この違いをまず両方の素材である炭素から紐解いていきたいと思います!
炭素
炭素について科学的な説明をすると原子記号C、原子番号6、原子量12.01、価電子4の元素と言うことになります。
炭素族、つまりは14族に属する炭素です。
炭素は炭素同士が結合することにより炭素骨格を作り出し、生物の基本骨格となっており炭素同士の共有結合、つまり炭素ー炭素結合は結合力が非常に強いことが知られています。
結合力が強い炭素-炭素結合。
それではなぜ黒鉛とダイヤモンドのように異なる性質を持つ同素体が出来るのでしょうか
混成軌道
これは混成軌道という考え方から紐解くことが出来ます。
混成軌道についてブリタニカ国際大百科事典よると
原子の基底状態の原子軌道を線形結合して表わしたもの。たとえば,炭素原子の電子配置は (2s)2(2p)2 であり,各軌道は同等でないからメタンの正四面体構造を説明できない。そこで各原子価電子の軌道を s+p+p+p のように線形に重ね合せて4個の同等な軌道に再配分する。
となっています。
つまり混成軌道とは構造を説明するための概念と理解していただいてかまわないです。
また、sとかpとかと言うのは電子軌道に由来します。s軌道は1つ、p軌道は3つの軌道があります。
専門家の先生からクレームのつきそうな説明ですが混成軌道とはこんなもんです。
これを元になるべく簡潔に説明すると
炭素は結合のとき、sp混成軌道、sp2混成軌道、sp3混成軌道をとります。
その中でもsp2混成軌道は3つの原子によって構成され平面構造をとり、sp3混成軌道は4つの原子によって構成され正四面体、つまり立体構造にとっています。
sp2はs軌道1つとp軌道2つが関わっており、sp3はs軌道1つとp軌道3つが関わっています。
そしてsp2混成軌道は黒鉛、sp3混成軌道はダイヤモンドがとります。
以下がダイヤモンドの構造です。
頂点に炭素原子が存在しています。
黒鉛よりダイヤモンドが硬いのはダイヤモンドが炭素同士が炭素ー炭素結合のみの立体構造をとっているからです。
また、以下が黒鉛の構造です。
黒鉛は平面構造の層を作っており、その層の間は分子間結合と呼ばれる炭素ー炭素結合より遥かに弱い結合をしているため非常にもろくなっているということなんです。
点線が分子間結合を表しています。
つまりは黒鉛はパイ生地のように平面が層を成しているということですね!
また、黒鉛が電気を通すのは自由電子のように振舞う電子がが存在しているからです。
最初のほうで炭素は価電子4つを持つと説明しました。
しかしsp2混成軌道をとる場合、それに関係する電子は3つであり、電子が1つあまってしまうことになります。
その為、その電子が自由電子のように振る舞い、電気を通すということなのです。
ダイヤモンドはsp3混成軌道を取るため電子がすべて結合に使われるため電気を通さないということです。
まとめ
ダイヤモンドと黒鉛の化学的な違いをご理解いただけたでしょうか?
結合が変わるだけで性質が大きく変わる点が面白いと思います。
また、同素体はいろいろな元素がとるのでそれの説明もいずれできれば・・・と思います。
ここが分かりづらいなどの点ありましたら是非お知らせください!