人工知能が物語を作る!?~人間が創造主になる日…その3
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人間が創造主になる日シリーズも3回目となった。
近年、人間が創作するものを機械に再現させようとする試みがAIの分野で盛んとなっている。
それは音楽であったり、絵画であったり、文章であったりするのである。
その再現の中でも特定の個人の文章を再現しようという変わった試みがある。
それが
である。
目次
きまぐれ人工知能プロジェクト作家ですのよについて
このプロジェクトの目的は
星新一のショートショート全編を分析し、エッセイなどに書かれたアイデア発想法を参考にして、人工知能におもしろいショートショートを創作させることを目指すプロジェクトです。
としている。
このプロジェクトは公立はこだて未来大学の松原仁博士を中心としたプロジェクトであり、2012年から始まり、2017年頃の新作発表を目指しているとしている。
これは夢見る機械~人工知能、AIについて~ - みならい化学屋の実験室でご紹介したエキスパートシステムの応用系であると考えられる。
今回はエキスパートシステムについて深く踏み込んでいきたい。
エキスパートシステム
これは上のリンク内でも述べた通り、
「人間の専門家の意思決定能力をエミュレートしたもの」
である。
知識ベース
推論エンジン
の二つがある。
知識ベース
知識ベースとは「もし~ならば~」という自然言語の規則で形式化されているものである。
プログラム言語のif文のようなもので示されているということだ。
規則はエキスパートシステムが持ちうる知識そのものである。
つまり、有限条件下(=エキスパートシステムが持ちうる知識)におくことで
夢見る機械…その2~東大を夢見る機械~ - みならい化学屋の実験室で解説したフレーム問題を回避することによって解決している。
また、これ以外の形式が利用されることもあるが
それはその科学者しか理解できない日常会話とはかけ離れたものになる。
推論エンジン
推論エンジンとは、規則を元に論理的に推論を行うプログラムである。
命題論理を初めとしたさまざまな論理を駆使し、推論をするのである。
メリット・デメリット
メリットとしては規則が自然言語であるためユーザーが知識ベースに規則を追加しやすい、データベースと同様の信頼性がある、などがある。
デメリットとしては正直に言ってしまえばあまり実用的ではないのである。
推論エンジンの能力が低いため正しい提案ができないことが多いのである。
しかしながらその提案を専門家に伺い、少しずつ修正していくことで正しい提案をできるようにしていくという解決方法がある。
まとめ
エキスパートシステムは規則を元に推論を行う。
つまり、プロジェクトは星新一と言う物語専門家の物語を解析し、規則を発見すると同時に論理も解析し、それをエミュレートするものなのだ。
この研究は年々、速度が加速されているようだ。
JSAI2013は2つの発表だったがJSAI2014では8つもの発表を行っている。
そして2015年9月24日
ついに第三回星新一賞に応募するにいたったのだ。
作品は審査終了後に技術的な詳細を含めて公表されるとのことである。
作品も楽しみであるが
それと同じくらいどのように作品が作られたのかもかなり気になるところである。
以下、リンク
jsai2014:1C2-OS-14a オーガナイズドセッション「OS-14 星新一に学ぶショートショートの自動創作 (1)」
jsai2014:1C3-OS-14b オーガナイズドセッション「OS-14 星新一に学ぶショートショートの自動創作 (2)」
*1:コンピュータの論理的構造